【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第68章 忍び寄る黒い美女 ☆
翌日、サラは珍しく俺よりも早起きをしていた。
目が覚めた時、隣にサラの姿がなく、俺は思わず飛び起きた。
「サラ!!」
「わ!びっくりした!!」
先に起きて、身支度をしていたサラは、俺の尋常じゃない起き方に驚き目を丸くしている。
サラの姿を確認して、ひとまずホッとした俺は、サラに尋ねた。
「今日は何かあるのか?」
「今日はね、ポアロのバイトが朝からなの!」
そう言って鞄を持ち、家を出ようとするサラの腕を咄嗟に掴んだ。
「待て。」
「?なに?」
今日は行くな。
そう言いそうになったが、ふと思う。
このままずっと、サラを家の中に閉じ込めておくのは、一体いつまでだ?
それよりも、ベルモットに諦めさせる方が先だ。
けれど今のところ、何の名案も浮かんでこない。
腕を掴んだままそれ以上何も言わない俺見て、サラは不思議そうに俺の名前を呼んだ。
「赤井さん?
…なんか、昨日から変だよ?」
「…バイトは誰と一緒だ?」
「え…梓さんと一緒のシフトだけど…」
…安室くんは一緒じゃないのか。
いつもなら安心するのに、今日は安室くんが一緒ならバイト中は安全なのに。とすら思ってしまう。
「ポアロまで、車で送る。」
「え?どうして?1人で行けるよ?」
「俺が送りたいんだ。
…頼む」
「…うん」
きっとサラは俺がおかしいことに気付いている。
何かを隠していることにも。
気付いていながら深く問いたださず、俺を信じてついて来てくれる。
きっとそれが、俺とサラが過ごしてきた時間の長さの賜物だ。
俺は素早くキャップにサングラスで変装すると、サラをスバルに乗せてポアロへと向かった。