第68章 忍び寄る黒い美女　☆

同じ頃


安室side


僕はベルモットを連れて米花デパートにいた。

と言うのも、黒の組織の仕事がこの後あるからベルモットを車で拾った時に、昨日会った依頼人の忘れ物を車内で見つけ、それを届けることになったのだ。


「バーボン。本当に依頼人がここで働いてるの？」

「えぇ。すみませんがここで少し待っていてください。
昨日の忘れ物を依頼人に届けに来ただけですから」


そう言ってベルモットを置いて店内にいる依頼人に話しかけに行った僕。

そして戻って来た時、ベルモットはそこにいなかった。

なんだ？待っていてくれと言ったのに。

そう思いながらいなくなったベルモットの姿を探してキョロキョロと辺りを見渡すと、吹き抜けになっているエスカレーターホールから下を見下ろしているベルモットを見つけた。

まるで、誰かを見つけたように一点をじーっと眺めている。


「どうしたんです？知り合いでも見つけましたか？」

「…バーボン。ジェーンって知ってる？」