【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第65章 恋人はアンドレキャメル!?
「つ…疲れる…」
お手洗いがこんなに休息の時間だったことは未だかつてあっただろうか。
わたしは手洗いの鏡の前に両手をつき、はぁあ…とため息を吐いて鏡の中の自分を見た。
彼女のフリでこんなに緊張するのに、いざ本番の赤井母との対面は一体どうなるのか…
それに、キャメルさんのお母様は本当にキャメルさんのことを大事に思ってらして、嘘を重ねることが精神的に辛い…
深く考えずに快諾したことを若干後悔したけれどもう後戻りもできず。
とりあえずあと少しやり過ごせばミッションクリアだ。
そう自分に言い聞かせて、お手洗いを出た。
すると、出たところの扉のすぐ前に沖矢さんが腕を組んで立っていた。
「えっ!!お、沖矢さん!?」
「随分と楽しそうですね」
どうやら相当お怒りの様子の沖矢さんはそのままわたしの頬を撫でて顎をクイッと上に上げた。
「他の男にキスをしていたのはこの口ですか」
「ま、待って!ほっぺでしょ?」
「指一本触れない約束だったはずだ」
そう言うと、沖矢さんはわたしの唇を強引に奪った。
「っんんっ…」
ちゅ…ちゅく…
思わず吐息が漏れてしまう、強引で濃厚なキスにわたしの脚はガクガクと震えた。
こんなキスされたら、もう平気な顔して席に戻れない…
そう思いながらも、沖矢さんが嫉妬してキスしてくれることが嬉しくて、それを拒むなんてできなかった。
しばらく唇を重ねてゆっくりと離した沖矢さんは、わたしの瞳を見つめながら言った。
「これ以上、俺を嫉妬させるな」
すっかり赤井さんの口調でそんなことを言う沖矢さんに、思わず胸がドクンと高鳴ったわたしは、思わずわたしから彼にキスを返した。
ちゅっ…と唇を重ねて、じっと彼の目を見つめて言う。
「帰ったら、キスの続きたくさんしたい」
「…っ…」
どうやら、効果抜群だったらしい。