【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第64章 満月の夜なら ☆
ゆっくりと離されて赤井さんの目を見つめると、赤井さんはフッと笑いながらまたわたしの髪を撫でた。
「その顔、変わらないな。ここに一緒に住んでいた時と同じ顔だ」
「っ…それは成長してないってこと?」
「いや?1ミリも変わらず、可愛い」
そんな殺し文句を言った後、赤井さんはまた角度を変えてキスを繰り返す。
ちゅ…っ…チュ…と唇が重なる音が響くにつれて、だんだん名残惜しい気持ちになってくる。
「ん…っ…あかいさ…」
「ん?」
「…わたしも連れてって?」
仕事だってわかっているのに、このまま赤井さんの腕の中から離れたくない。
わたしは、いつからこんなワガママな女になったんだろう。
「それはできないな」
赤井さんは参ったように微笑んで、わたしから身体を離した。
近くに感じてたタバコの香りが、少し遠くに行ってしまっただけで胸がツンとなる。
「…じゃあ、どうしてわざわざわたしを連れて部屋を出たの?」
「優作さんと有希子さんがいる前で、こういうこと出来ないからな」
そう言った赤井さんは、また不意をついてわたしにキスをした。
チュッと触れるだけのキスをして、身体を離した赤井さんはわたしの頭をわしゃわしゃっと撫でて笑った。
「じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい。気を付けてね?」
そして彼がドアを開けて出て行った瞬間、もう早くも寂しさが襲ってきた。
きっとこれから何度もこう言うことはあるだろう。
予定をキャンセルされてもいい。
しばらく一緒に眠れない日が続いてもいい。
赤井さんにとって、わたしが帰りたい場所になれていればそれでいい。
そう思いながら、彼が出て行ったドアをじっと見つめていた。
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