【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第63章 緋色の不在証明 -後編-
てっきりここから高速に乗って、自宅へ帰るのだと思っていたけれど、スバルが走り着いた先は横浜のベイサイドにあるホテルだった。
「?何で?」
「今からだと、帰宅時間がさらに遅くなる。
今日は朝からお前を振り回してばかりだったからな。
泊まって、明日の朝にゆっくり帰ろう」
そう言った赤井さんは、わたしの手を引いてスバルを降りるとフロントでチェックインを済ませた。
ベルツリーホテルにも負けず劣らずな煌びやかなロビーに、ほぉーと呆気に取られていると、赤井さんが部屋の鍵を受け取ってわたしを呼びに来た。
「チェックイン完了だ。
部屋に行って休もう」
「うん!」
と言っても、泊まるなんて思ってなかったわたしは、着替えの服とか下着とか何一つ持って来ていない。
後でコンビニで買わなきゃ…
と思いながらも、とりあえず赤井さんの後ろについて本日泊まるお部屋へと向かった。
ガチャリとカードキーをかざして開いた部屋の中には、大きな窓が見え、そこから横浜の景色が一望できる。
「わ!!さっきの観覧車!!
それに、遠くに赤煉瓦も見えるよ!ライトアップされててすっごく綺麗!!」
わー!わー!とはしゃぐわたしを見ながらプッと笑った赤井さんは、わたしを後ろから抱きしめながら言う。
「また今度、名古屋に観光に行こう。」
「手羽先?ひつまぶし?」
「何でも食べていいから」
「約束ね?」
そう言うと、赤井さんは約束の印にわたしの唇にキスをした。
ちゅっ…と触れるだけのキスをした後、わたしの髪を撫でながら言う。
「お前は、良い子だな…」
「…良い子になったの。赤井さんのおかげで」
「そうか…」
そう言いながら、またキスをしようとする赤井さんを、わたしは思わず咄嗟に止めた。
「ま、待って!」
「?」
「今日、泊まるとか思ってなかったから着替えも何もなくて…
コンビニに…」
「何だ。そんなことか。
シャワーを浴びる時に脱いで、クリーニングに預ければ良い。」
頭の回転の速さは、赤井さんの方がわたしの倍だ。
確かに、ここはホテルだからクリーニングサービスを利用すれば、わざわざ新しく買わなくてよくなる。