【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第63章 緋色の不在証明 -後編-
「サラ…」
「…ん…」
「サラ」
「っ…え!あっ!寝てた!?」
赤井さんに身体を揺すられ、ハッと目を覚ますと車の外には何故か爆睡している秀吉さんを抱えた赤井さんがいた。
「寝ているところ申し訳ないんだが、秀吉と席を代わってくれるか…?
下ろすことを考えたら、二人で後部座席に座ってもらう方が楽だと思ってな」
「は!はい!どうぞ!!」
そう言って慌てて後部座席を降りたわたしは、再び助手席に乗り込んだ。
え!わたし、いつから寝てた?!
秀吉さんも寝てるってことは、追っていた犯人は無事捕まったのかな…?
「…赤井さん」
「ん?」
「犯人は、捕まえたの?」
「あぁ。無事にジョディが確保した」
「そう…あの、わたし…ごめんなさい!」
「??」
「赤井さんが真剣に犯人を捕まえようとしてたのに…その、会話の内容が難しすぎて眠くなっちゃって…」
「何だ。そんなこと。
俺の方こそ、手羽先を食わせてやるとか言って、結果名古屋までただドライブしただけ。
悪かったよ」
そう言いながら、頭をぽんぽん撫でた赤井さんはまた車を走らせた。
しばらくすると、ジョディさんから電話がかかって来たようで、またイヤホンマイクでそれに応答する赤井さん。
「マジックじゃない。将棋だ。
こっちには日本一…いや、世界一のブレーンがいるんでね」
そう言いながら、由美さんと仲良く身体を寄せ合って眠る秀吉さんに目をやった後、続けて言った。
「たとえ凶悪犯でも殺さない。
あのボウヤはそういう主義らしい。
俺たちFBIとは違うようだ」
そっか…
思えば、FBIって仮に投降しなければ容赦なく犯人を射殺することで有名だ。
きっと、赤井さんもこれまでにそう言う場面は幾度かあったんだろう。