【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第63章 緋色の不在証明 -後編-
そう思っていてふと思い出す。
そうだ!いま運転中じゃない!
赤井さんと数秒見つめあっていることに気づいたわたしは、慌てて前を見た。
すると、進行方向横断歩道前に人が両手を広げながらこの車に止まれ!と言っているように見える。
青信号なのに!!
「…って、前…!」
「ん?」
「前!前見て!人がいる!!」
赤井さんの肩を叩きながら焦りに焦ってそう叫ぶと、赤井さんは急ブレーキを思い切り踏んだ。
キキィーーーッ
まるで、車体の後輪が浮いてしまいそうになるぐらいの急ブレーキに、わたしはぎゅっと目を瞑ったが、間一髪のところでブレーキが間に合ったらしい。
けれどその目の前に飛び出してきた人は、なぜかそのままこのマスタングのボンネットで眠り始め、その女性を慌てて回収にくる1人の男性が目に入った。
紛れもなく、この赤井さんの実の弟、秀吉さん。
そして車を止めたのはその恋人の由美さんだ。
「…??」
「しゅ、秀吉さんと由美さん???」
目をまん丸に見開く赤井さんとわたし。
まさかこの名古屋であのカップルに遭遇するとは思っていなかったわたしたちは、呆気に取られてしばらくそのまま動けなかったほどだった。
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