【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第63章 緋色の不在証明 -後編-
しばらくして停車した場所は、何の変哲もない車道だった。
「??こ、ここ??」
きょろきょろと辺りを見渡すけれど、すぐ隣にリニアの線路が走っていること以外は、特に目立った建造物もなく、人通りも少ない。
こんなところで一体何を…
そんな風に戸惑いを隠せないわたしに、赤井さんは平然と車を降りながらわたしに尋ねた。
「行くぞ。それとも、待っているか?」
「っ!待ってるだけはもういや」
考えるよりも先にそう言ったわたしは、慌てて助手席を飛び出し、赤井さんのそばに駆け寄る。
「そう言うと思った」
と、赤井さんは車のトランクに乗せてあったライフルバックを担ぎながらわたしの頭を撫でた。
そして、行くぞ。と目配せをした後、明らかに立ち入り禁止であろう、線路上へ上がるための階段を登り始めた。
ライフル…と言うことは、誰かを…何かを狙撃するの?!
でもどうして線路?!
わからないことだらけのわたしをよそに、赤井さんは線路に立ち入ると真空トンネルに向けてライフル銃を構えた。
あぁ…
キュラソーの時も思ったけど、赤井さんがライフルを構える瞬間って、多分彼史上1番カッコいい。
ぽーっと自分の恋人に見惚れているわたしは、この状況が普通じゃないことすらもう忘れてる。
赤井さんはライフルを構えながら、イヤホンマイクでコナンくんと何やら会話をしているようで
「…いや。タイムリミットだ」
一言そう伝えた赤井さんは、深呼吸をした後、1発の弾丸を真空トンネルの中へ発射した。
ダァン…
大きな発砲音が響く中、赤井さんは平然と撃った先を眺めた後、
「後は好きにしろ。ボウヤ」
そう言い残して、わたしの方へ戻ってきた。
「っ…」
かっこいいが限界突破して言葉を失うわたしに、赤井さんは呆れたような顔して勘違いをしてる。
「なんだ…また、わたしも撃ちたい!
なんて言うんじゃないだろうな」
「ちがう!いや、撃ちたいけど!
…かっこよすぎて…」
「…馬鹿だな」
かっこいいとド直球に伝えられた赤井さんは、少し気恥ずかしそうに目を逸らしながら、わたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。