【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第63章 緋色の不在証明 -後編-
赤井side
「赤井さん。
万一のときが、来てしまったみたいだ」
ボウヤからそう報告を受けた俺は、すぐさま車を走らせた。
万一の時とは、犯人が走行するリニアでアラン会長を殺す気だということ。
事前にある程度予想はしていたものの、まさか現実になるとはな…
こうなった以上、俺がFBIとして取る行動はひとつ。
人質を無事に取り戻すために、犯人を狙撃する。
もちろん、最悪の場合射殺することになってもだ。
「…赤井さん?」
「ん?どうした?」
色々と思考を巡らせながら車を走らせる俺に、助手席に座るサラが恐る恐る声をかけた。
「なんか、赤井さん怖い顔してたから。
…大丈夫?」
「…何も?心配するな」
俺の表情が、無意識のうちに強張っていたんだろう。
サラは心配そうに眉を下げた後、俺の大丈夫を聞いてホッとしたような顔をした。
思えば今まで、目的のために犯罪者を射殺することに対して、深く考えすぎないようにしていた。
けれど、もし今サラに、そんなことやめて欲しいと言われたら俺はどうするだろう。
FBI捜査官としての任務と、サラの恋人としての価値観。
サラに出会う前までの俺なら迷わず前者を選んでいたが、今は正直言うと迷う。
そんな自分の中の変化を自覚しつつも、今は目の前の任務に集中するんだと自分に言い聞かせ、俺は目的地へと車を飛ばした。
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