【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第62章 永遠の不在証明 -中編-
どういうこと…?
さっきの女の子は確か、蘭ちゃんのクラスメイトの世良ちゃん…
何度かポアロに来てくれたこともあり、確か沖矢さんとも面識があったはず。
そんな2人がどうして戦ってたの…
単純に、ターゲットが被って牽制し合っていただけ?
それに、あの子供…
わたしは諜報員をやっていた頃、ありとあらゆる格闘術を仕込まれた。
自分で言うのもなんだが、手練れといっても過言ではない。
けれどそんなわたしと互角に殴り合える子供なんて、一体何者なの…
沖矢さんが車を飛ばしてどこかへ向かっている間、そのことが頭の中でグルグルと巡っていた。
そして、ちょうど車が再び空港の駐車場に戻り停車したタイミングで、わたしは沖矢さんに話しかけた。
「ねぇ、さっきの子供…」
「…見つけた。」
知り合いじゃないよね?
と尋ねようとしたわたしの言葉を遮るかのように、沖矢さんがある車を見ながらそうつぶやいた。
「え?沖矢さん??」
「少し待っていてくれ」
そう言った沖矢さんは運転席を降りると、見つけたと言ったその車の中を確認し、すぐにまたマスタングに戻ってきた。
そして、即座にスマホをタップして耳に当てる。
おそらく、コナンくんに連絡をしているんだろう。
「犯人の車を見つけたぞ。ボウヤ。
空港の駐車場だ。
しかし分かったのは、運転手がおそらく男ということだけ」
そう言いながら、バックミラーに映った自分の顔についた傷を確認している。
しばらく電話の向こうのコナンくんの話を聞いていたかと思えば、突然傷ついた変装用のマスクを後部座席に脱ぎ捨てると、トレードマークのニット帽を被り直してハンドルを握った。
そして勢い良くエンジンを蒸すと車のギアをドライブに入れ、最後にチョーカー型変声機をオフにし、完全に赤井秀一に戻った彼はまっすぐ前を見据えた。
「了解した」
その言葉のすぐ後、アクセルを前回にした赤井さんは、いつものあの魔のドライブテクで空港の駐車場からある目的地に向かって走り出した。