【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第62章 永遠の不在証明 -中編-
そんな中、電話口のボウヤが話を続けた。
「石原や娘がその対象になったかどうか、調べられる?」
「その証人保護プログラムをFBIがしていたらすぐにわかるが
万が一USMSがしていたらちょっと時間がかかる。
FBIとUSMSは仲が悪いんでね」
「あ…そうなんだ…ちなみに、証人保護で名前を変える場合、自分の好きな名前に変えることはできる?」
「無理だな」
「絶対に?」
「ん…もとの名前が特定される危険性が少なければ…あるいは」
「そう…あ。これから健康診断があるみたい。
また連絡する」
ピッ
ボウヤからの電話が切れて隣を見ると、サラは俺に構ってもらうのを諦めてスマホで本を読んでいるようだ。
思えば名古屋に行く目的もろくに伝えず、早朝に起こして車に乗せ、長時間ドライブに付き合わせた挙句、空港の駐車場ではや1時間。
普通は怒るか…この状況…
そう思った俺は、サラの頬に指で触れながら話しかけた。
「すまない。勝手に連れてきて放ったらかして…」
「?仕事の電話でしょ?
わたしは仕事してる沖矢さんが好きだからいいの!」
てっきり怒っている、もしくは拗ねているのかと思いきや、サラはケロッとした顔をして俺に笑いかけた。
そして今度は恥ずかしそうに顔を赤らめながら口を開く。
お馴染みの百面相だ。
「それに、さっき頭ぽんぽんしてくれたし」
「?それがどうした?」
「それがどうしたって…!
そもそも一緒の空間にいられるだけで幸せなの!」
もう、分かってないな、沖矢さん。
なんて言いたげに、サラは頬を膨らませてまたスマホの中の本に目を落とした。
サラはいつもそうだ。
俺のくだらない心配なんて笑い飛ばして、心を軽くしてくれる。
「サラ」
「ん?」