【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第62章 永遠の不在証明 -中編-
赤井side
車に戻って一息つくとすぐにボウヤから折返しの電話がかかってきた。
サラに誰から?と聞かれ、思わずヒミツだと返したが、よく考えればサラはあのボウヤが只者じゃないことを知っている。
隠す必要もなかったな…
そう思いながらも、訂正するほどのことでもなく、俺はそのままボウヤと通話を始めた。
「で、どうだった?」
「名簿にはなかったよ」
日本に逃れた石原誠の妻と娘。
その二人のうちどちらかが、今回の試運転乗車に参加している可能性は高いが…
どちらの名前も無かったらしい。
「そうか。証人保護プログラムで名前を変えた可能性はあるがな」
「石原は犯人だよね?その家族が証人保護プログラムの対象になるの?」
「犯人の仲間に襲われる可能性があれば、誰でも対象になる。
安全を守る代わりに捜査への協力を強制する司法取引だからな。」
基本的に何でも知っているボウヤに、今回は珍しく俺が何かを教えている気がする。
まぁ、証人保護プログラムに馴染みがある方がおかしな話だが。
サラは俺の通話内容を隣で聞いて、むー。と難しい顔をしている。
本来なら、サラにも証人保護プログラムを受けて欲しいぐらいだが、そうすると俺と今の関係を続けるのは不可能になる。
俺は徐に、サラの頭にぽんっと手をやり髪を撫でると、サラは一瞬首を傾げたものの、すぐにふわりと笑って幸せそうに俺を見た。
サラのことは、司法取引などしなくても、俺が守ってやる。必ず。