【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第60章 二股の女? ☆
カランコロン…と、ドアベルがいつもよりも大きく鳴り響くと同時に、わたしは頭を抱えて安室さんに泣きついた。
「ど、どうしよう!!!」
「まぁ、いずれこうなるだろうとは思ってましたよ」
「夜だし車の中だしってことで完全に油断してた…」
あああ…と絶句するわたしを見て、安室さんはいつも通りにこにこと笑いながら言う。
「見られたのが恋敵で不幸中の幸いですね。
組織の人間なら更にマズイことになってるところでしたよ」
「それは…そうなんだけど…!
でもこれはこれでマズくない?
わたし二股かけてるって思われてるよ!
しかも赤井さんと沖矢さんは同一人物です。なんて言えないし、どうしよう…」
「ま、本人に言うって言ってるところだし、そこは沖矢昴本人に任せたら良いんじゃないですか?」
「えぇ…」
確かに、わたしがここであたふたして暴走しても何も良いことないし…
沖矢さんに対応を任せるのが一番現実的かも…
かたや安室さんは、何とも面白くなさそうに眉を顰めながら溢した。
「そもそも、仮の姿のくせにうっかり女性を好きにさせているなんて、何様なんですか。あなたの彼氏は」
「…なんか、私怨入ってない…?」
「いえ?そんなつもりはありませんよ?
さ、今日は新しいコーヒー豆の入荷だ。仕事仕事」
安室さんの言う通り、ここは沖矢さんに任せるしかなさそうだ…
誤解が解けたとしても、赤井さんの姿で一緒に外に出るときは夜だといっても油断しないようにしなきゃ…
たしかに、見られたのが黒の組織の人間だったとしたら、赤井さんの仕事にも大きく影響を及ぼしてしまう。
最近、幸せすぎて忘れていたけれど
わたしと赤井さんは、素顔で堂々と手を繋いで歩けない人間だ。
少なくともあの組織を潰すまでは、わたしたちは見つからないようにひっそりと2人の時間を過ごすしかない。
改めて、その重さを感じたわたし。
今日、バイト終わって家に帰ったらこの話をしよう…と、一旦区切りをつけてアルバイトの仕事を再開した。
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