【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第60章 二股の女? ☆
カランコロン…
「いらっしゃいませ!」
お客さまだ!と、ドアのほうに目を向けたわたしは、その目を思い切り見開くことになる。
「あなた…」
そこにいたのは、あの沖矢昴に恋をしている(であろう)東都大学の女子大生、如月さんだ。
「?知り合いですか?」
「う、うん。沖矢さんの大学の同級生で…」
首を傾げる安室さんに彼女のことを紹介しようしたとき、わたしの方をギッと睨みながら如月さんがツカツカと詰め寄ってきた。
そして、突然バッと頭を下げながら言う。
「昴のこと、私にください」
「…え…?」
くださいって…くださいって?!
全くもって理解できないそのお願いに、わたしは呆気に取られてぽかーんとその光景を眺めた。
そんなわたしに、如月さんは続けて言った。
「お願いします。私の方が、昴のこと大切にする自信ある。」
「ちょ、ちょっと待ってください。
はい、いいですよ。なんて言うと思いますか?」
「言うわよ!
だってあなた、他にも恋人がいるみたいだし」
「い、いませんよ!」
他にも恋人?!
なにそれ?!
わたしが交流がある男性って安室さんやポアロの店長、ポアロのお客さまぐらいだし…
安室さんと元恋人なのが関係してる…?
でもそれも随分前の話だ。
考えても埒があかず、ひとまず全力で否定するわたし。
そんなわたしに、如月さんから発せられた言葉は、ある意味当然で何故今まで気付かなかったんだろうと自分の甘さを痛感させるものだった。