【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第8章 恋をしたのは☆ ♪
「サラ!」
安室さんに何と返して良いか分からず、困っていると一層大きな声で沖矢さんがわたしを呼んだ。
ハッとしたわたしは慌ててスマホに近づき、返事をする。
「大丈夫!今から避難するから。」
そう言って電話を切った。
ドクドクと心臓がうるさい。
「エレベーターで降りますか」
そう言って何もなかったみたいに安室さんはわたしに手を差し出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ。さっきのあれ、何??」
「何って。キスですよ。」
「そういうこと聞いてるんじゃなくって!
どうしてキスしたの…?」
「君のことが好きだからですよ。」
ケロッとした顔でそんなことを言われたから、全く告白に聞こえない。
「う、うそ!」
「ほら。エレベーター来ましたよ」
安室さんはうろたえるわたしはスルーしてエレベーターにわたしの手を引いて乗り込んだ。
エレベーターに乗ってる間も気まずいことこの上ない。
わたしのことが好き??そんなことある?
いつもの冗談でわたしの反応を楽しんでるの?
「サラ」
「はい!!」
突然安室さんに話しかけられ、ビクッと身体を揺らして動揺したように反応してしまう。
「ありがとう。さっき、一緒に背負ってくれて。」
「あ、あぁ。いえ、そんな。」
そしてまた沈黙と気まずい時間が流れる。
安室さんが微笑みながらこっちを見ているのに、わたしはその顔を直視できない。
そんな空気を壊すようにエレベーターの音が鳴って、地上へと帰還した。
エレベーターから出て、ホテルのエントランスを出ると、沖矢さんが1番に目に止まった。
沖矢さんはわたしを見つけてこちらに走って来て、そのまま腕の中にわたしを閉じ込めた。
「寿命が縮まるかと思った」
「ごめん。」
「事情聴取はまた改めてとのことです。早く帰って休もう」
「うん。そうだね…」
そう言ってわたしの肩を抱き、車へ向かおうとする沖矢さん。
そんな彼についていこうとするわたしの腕を安室さんが掴んだ。
「サラ。さっきの返事、いつでもいいから。」
そう言う安室さんを、沖矢さんがひと睨みして、わたしの肩を抱く力を強めた。
「行くぞ」
沖矢さんを演じることなんてすっかり忘れているようで、わたしの肩を抱きながら車へと急いだ。