【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第59章 愛に似てる
赤井side
はあ…
全く気乗りがしない。
沖矢昴の姿で大学の図書館の前に立つと、深い溜息が漏れた。
だがもうここまで来たら、さっさと論文のレビューをして帰ろう。
そして今後同じような誘いが来たら、サラには内緒で断ろう。
あいつに言うと、どうせまた「行ってきたらいいじゃない〜」なんて言うに決まっている。
図書館に学生証をかざして中に入り、俺は心理学の本棚の前で並んでいる本の中から適当に選んで目を通し、如月を待った。
すると、俺の袖を誰かがくいっと引っ張り、振り返ると如月が息を切らして立っていた。
「お、おまたせっ」
「僕も今来たところですよ」
そんな定型文のような返事をして、如月を見た。
この間初めて大学で会った時と随分雰囲気が違うな…
あの日は確か、シンプルなトップスにジーンズだった。
今日は胸元がざっくり開いたワンピースにハイヒールを履いている。
確実に沖矢昴を落としに来ているな…やはり…
また赤井秀一目線でまるで他人事のようにそう思うと、俺は尚のことサッサと終わらせて帰ろうと思い、近くにあったテーブルに座りながら少しだけ冷たく言った。
「で?論文って?」
「あ、うん。これなんだけど…」
そう言って俺に自分が書いた論文を手渡した如月は、俺の隣に座ると一緒に論文の紙を覗き込んでくる。
向かいに座ってくれよ…
あまり近づかれると変装がバレる…
と心の中で思いながらも、とりあえずこれを終わらせることが先決だ。とその論文に目を通し始めた。