【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第59章 愛に似てる
「これ、さっきのお礼」
如月樹里はそう言って俺に缶コーヒーを買って渡した。
いつも飲んでいるブラックの缶コーヒーだ。
「これ…」
「あ、ごめん。ブラック嫌いだった?
自分がブラックしか飲まないから、つい癖で…」
「いや。私もブラックしか飲めません」
「そう。気が合うね。私たち」
そう言って微笑んだ彼女と俺は、コーヒーを片手に近くのベンチに並んで腰を下ろした。
「工学部なのに、プロファイルの本読むのね」
「ミステリーが好きなんですよ」
「ふーん。…ね、この本何章まで読んだ?」
「1章の途中ですが…」
「私ね、1章ですごく気になった症例があって…」
そう言いながら、楽しそうにプロファイルの話をする彼女。
現役捜査官の俺よりもプロファイリングに興味津々といった感じだ。
「…でね、…あ、ごめん。
なんか、この話できる人他にいなくて、テンション壊れてた」
「いえ。心理学部ということは、犯罪心理学専攻ですか?」
「そう!将来、FBIに入るのが夢なの!」
目を輝かせながら、自分の職業を言われ、俺は内心焦りながらも冷静に沖矢昴として受け答えする。
「…なら、同じ学部にこう言う話できる人間、たくさんいそうですが…」
「それが、みんな意外とドライなんだよね。
大学院まで行っても、普通に一般企業に就職する人がほとんどだし。
…だから、あなたみたいに話せる人、貴重なんだ」
そう言いながら、俺の顔をじっと見て微笑んだ。
まぁそうは言われても俺はほとんど大学には来ないし、多分この人と話すのも今日が最初で最後だ。
あまり深入りしない方がいいな。
そう思いながら、如月の話を半分流しながら聞いていた。
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