【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第59章 愛に似てる
赤井side
次の日、沖矢昴になった俺は久しぶりに東都大のキャンパスに入った。
図書館から本を借りて、中庭のベンチに座って読むのが俺のキャンパスでの過ごし方だ。
サラのバイトが終わるのは夕方だから、それまでここで本を読んでいるか…
借りてきたのは、FBI長官が過去に出したプロファイルの本。
工学部の沖矢昴のくせに、読む本は赤井秀一の嗜好だ。
2章ぐらいまでは読めそうだな。
そう思い、パラパラとページをめくった。
その時
「ちょっと!やめてよ!」
隣のベンチから、女の声がした。
なんだ?と見ると、男二人に女が詰め寄られている。
…修羅場か?
俺には関係ないな。
そう思って立ち去ろうとした時、その男が女に向かって平手打ちを繰り出そうとしていたのが目に入った。
さすがに…と思い、俺は間割って入ると咄嗟にその張り上げられた手を掴んだ。
「何だテメェ」
「女性に手をあげるのは賛成できませんね」
そう言いながら、男の腕をぐいっと捻り上げると、俺の圧に何かを察したらしく、そそくさと向こうに逃げていった。
「…まったく。怪我は?」
「何ともないです。…ありがとうございました」
ぺこっと頭を下げるその女は、サラよりも少し高めの身長に、首元あたりで切り揃えられたボブヘア。
可愛いというより、美人だと言われそうな見た目の女だった。
「あいつらが、万引きしたところを見たから警察に言ったの。
そしたら逆恨みされちゃった」
「そうですか。…気を付けてくださいね。
では、私はこれで」
そう言ってその場を立ち去ろうとすると、その女が俺の腕を掴んだ。
「待って!…わたしも、その本好きなの!」
そう言って俺が持っていた本を指差しながら俺を見た。
「わたし、心理学部の如月樹里。
あなたは?」
「…工学部の沖矢昴です」
「沖矢くん。ねぇ、少しだけ話さない?
その本持ってる人、初めて見たから!」
そう言われ、一瞬断ろうかとも思ったが、沖矢昴を認知している人間は増やした方が良さそうだな。と思い、少しだけなら。とその誘いに乗った。
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