第58章 Shape of you ☆

わたしのポアロのバイト中の密かな楽しみはお客様の会話をこっそり盗み聞きすること。

と言っても、狭い店内だ。
聞き耳を立てずとも、自然に会話はわたしの耳に届く。


今日は常連の女子高生がまだ夕方だというのに、思いっきり下ネタ混じりの彼氏の愚痴を溢していた。


「でさあ！彼氏、AVで見たやつを私ともやろうとしてくんの！
最悪じゃない？」

「えー！やだー！
そもそもAV見てるのが無理」

「だよね？！
私じゃ不満なのかっての！」


AV…いわゆるアダルトビデオだか、そういえば赤井さんも見るのかな？
見るよねきっと…？
見てるところ見たことないけど…当たり前か。

今まで考えても見なかった。
赤井さんがわたし以外の女の人に興奮して一人で…


「む！！無理！！！！！！！」


想像しようとしてキャパオーバーになったわたしは、突然大声をあげて隣にいる梓さんがビクッと身体を震わせた。


「サラさん…？どうかしました？」

「や、あの…なんでもないです！
すみません！」


そう言いながら大慌てで洗い物の続きを進めるわたし。
だめだめ。仕事に集中しなきゃ。
ひたすらにそう自分に言い聞かせながら、残りの仕事を片付けた。


バイトが終わった後、梓さんと仕事終わりのコーヒーを飲みながら話していると、昼間の女子高生の話になった。


「最近の女子高生は、大人びてますよねー。
今日の会話内容なんて、わたしが高校生の頃は思いつきもしなかったですよ！
ずっと部活の話してましたし！」

「で、ですねぇ」


梓さんはそう言うけど、わたしはそもそもハイスクールに通っている時は友達いなかったから、放課後に集まって恋バナするなんてしなかったな…

そう思っていると、梓さんが笑いながら言う。