【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第8章 恋をしたのは☆ ♪
安室side
「彼は簡単に君を笑顔にするのか」
気付いたらそうつぶやいていた。
スマホを大事そうに抱きしめながら、幸せそうに微笑む顔を見て、思ってしまったことが口に出たらしい。
幸い、周りの客が警察にブーイングをしている雑音でサラには聞こえていないようだ。
ついさっきまで、泣かせられていたくせに、僕が何を言っても悲しそうに笑うだけだったくせに、そんな風に幸せそうに笑わないでくれ。
自分が選んだドレスを着せて、自分のジャケットを羽織らせても、自分のものにはならない。
俺はこの人を、自分のものにしたいのか。
そんな気持ちを、今自覚したような気がする。
不意に、サラの髪に触れると、サラは僕の顔を覗き込んで、どうしたの?と聞いてくる。
理由なんてないよ。ただ、触れたいと思ったんだ。
そう正直に言えば、彼女はどんな反応をするだろう。
またはぐらかされるか、信じてもらえず怪訝な顔をされるか。
だけど、僕は今まで彼女に言ってきた言葉には、なんの嘘もなかった。
組織にいた時からずっと、彼女を目で追っていたのだから。