【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第56章 クリスマスソング
フォームは完璧。
諜報員を辞めてからもう1年以上経つが、構えるとあの頃のジェーンが舞い戻ってくる気がした。
一度深呼吸して狙いを定めたサラは、そのまま引き金を引いた。
パンッ
実弾よりも随分軽い音が飛び出し、見事に的の頭を貫く。
そして立て続けに2発目、3発目と全く同じ場所に当てていくサラ。
これは勝敗がつかずに終わるんじゃないか…と、俺自身も外す気はない故にそう思った。
が、10発目にサラが撃った弾は頭からわずかに逸れて耳の横にすり抜けていった。
「あぁあ!うそ!!ミスった?!」
射撃に絶対的な自信を持っていたサラは、信じられない!と絶叫している。
「残念だな。
お前の負けは確定かな」
ふふんと大人気なく笑う俺は、サラに変わって射撃ブースに立った。
「10発か。余裕だな」
そう言いながら構えて1発目を撃とうとしたとき、サラが後ろから耳元で囁いてくる。
「赤井さん、ミスして?」
「…卑怯だぞ。」
一瞬、手元が狂いそうになりながらも俺は1発目を頭に当てることに成功。
2発目、3発目、4発目と難なく頭に、しかも同じ場所に当てていく。
そして運命の10発目も
パンッ
「命中だ」
「えええ!わたしの負け?!」
「残念だな。俺の勝ちだ」