【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第56章 クリスマスソング
どこに行くんだろう?と、楽しそうに微笑む可愛い彼女を助手席に乗せ、俺は目的地へ向かって車を発車した。
「今日は赤井さんなんだね」
沖矢昴に変装せず、素顔のままキャップを被って車を運転する俺を見て、サラは楽しそうに笑った。
「お前とのクリスマスを、沖矢昴に譲るわけにはいかんからな」
「沖矢さんは赤井さんでしょ?」
何言ってるの?と言うふうに、ふふっと笑うサラ。
可笑しいよな。
別人に変装した自分にすら、嫉妬してしまうのだから。
今日は赤井秀一以外の名前をサラに呼んで欲しくなかった。
赤井秀一の愛車、フォード マスタングの助手席にサラを乗せるドライブが一番楽しいと感じる。
スバルに乗せて走っている時よりもずっと。
「早く、全て解決して素顔でお前と色んな場所へ行きたいな」
「そうだね。
でも、わたし今のままでも十分幸せだよ?」
「もっともっと、幸せにしてやりたいと思うんだよ」
そう言うと、サラはかあっと顔を赤くした後、俺の方をジト…と見ながら言う。
「なんか赤井さん、甘い!!」
「はあ?!」
「甘くて溶けそう…わたしそのうち、ドロドロに溶けてなくなっちゃうよ…」
「…何を言っているんだお前は」
サラが時折言う不思議な発言にいつも通り首を傾げながらも、俺は目的地に着くのを心待ちにしながら車を転がした。