【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第55章 片想い
「えっ!?」
サラが驚いて俺を見るが、俺は弓弦くんの方を見て言う。
「悪いが、俺にとってもこいつは、何より大切なんだ。…自分の命よりもな」
大人げないな。
わかっている。
それでも、サラだけは渡せない。
弓弦くんは俺たちを交互に見た後、はぁ…とため息をついた。
さすがにこの二人の間に割って入るのは、難しいと判断したんだろう。
「…わかりました。しゃーないっすね。
…サラさん。今日は一日、付き合ってくれてありがとうございました。」
「…ううん。
好きになってくれてありがとう。」
「…最後にいっこだけ、わがまま言っていいですか?」
「なに?」
サラが首を傾げると、弓弦くんが不意をついてサラの腕を引いた。
思わずよろけたサラの頬に、弓弦くんが不意打ちでキスをする。
チュッ
「?!!?」
「なっ…」
驚いて目を見開くサラと、怒りで開いた口が塞がらない俺。
男子高校生は思った以上に一枚上手らしい。
「じゃあ、サラさん。
またポアロに行った時、英語教えてくださいね。」
ざまあみろ。と言う風に笑った弓弦くんは、ヒラヒラと手を振って帰っていった。
あのクソガキ…
10以上も年下の男に、自分の彼女の頬をあっさり奪われた自分に無性に腹が立ってくる。
「サラ。こっち向け」
俺はサラを自分の方へ向かせると、さっき弓弦くんがキスをしたサラの頬をゴシゴシと自分の袖で拭った。
「俺のサラに…」
「あっ、赤井さん?」
「何だ」
「…何でここにいるの?」
一瞬、時間が止まった。