【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第55章 片想い
ぺこりと頭を下げながら、サラは続ける。
「赤井さんと別れるのは、ありえない。」
「…どうしてですか」
「弓弦くんは、わたしのどこが好きなの?」
真っ直ぐ目を見てそう言われた弓弦くんは、返す言葉を必死に探している様子だ。
「…笑った顔が、好きです。
あと、優しくて明るくて、ちょっと抜けてるところも。」
同感だ。
そう思った。
俺がサラを愛しいと思うのと同じで、他の男だってサラのことを魅力的に思うんだと言うことが、まざまざと見せつけられた気がした。
そんな彼に、サラは言う。
「わたし、弓弦くんに思ってもらってるような人間じゃないよ?
人に言えないようなこと、沢山してきたし。」
きっと、昔諜報員をやっていたことやジンと関係を持っていたこと、さらに昔に既婚者と関係を持っていたこと。
それらを思い出しているように見えた。
「もし、弓弦くんがわたしのこと好きだと思ってくれてるなら、そんな風に人から好かれる人間に、赤井さんがしてくれたの。
わたしを、変えてくれたの。
赤井さんがいるから、毎日笑えるの。」
サラのその言葉を聞いて、俺は思わずサラの方へ向かって歩き出した。
「あっ、赤井さん!まずいですよ!」
キャメルが隣でヒソヒソと俺を止めようとするが、俺はもうキャメルの声は耳に届かない。
「…だから、赤井さんと別れるのはありえない。
わたしにとって赤井さんは、自分の命より大切なの」
サラがそう言った瞬間、俺は後ろからサラをギュッと抱きしめた。