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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第55章 片想い




弓弦くんに連れられてショッピングモールの屋上庭園にやってきた。

ちょうど夕日が傾きかけた時間で、展望台から見える街がオレンジに染まる。


夕焼けを見ると思い出す。
赤井さんにフラれた日のことと、赤井さんに指輪をプレゼントされた日のこと。

人生で一番悲しかった日と、一番嬉しかった日。
そのどちらも、こんな風に夕陽が街を染める時間帯だった。

赤井さんと、来たかったな…
なんて、弓弦くんといるのにそんなこと思ってしまう。


並んで街を見下ろしていると、隣にいる弓弦くんが身体をこちらに向けて口を開いた。


「サラさん。今日はありがとうございました」

「こ、こちらこそ。」

「…なんか、正直夢みたいで緊張しすぎて、余裕なくて…
上手くエスコートとか出来なかったと思います」


そう言って弓弦くんは、悔しそうにしゅんと眉を下げた。


「そんなことないよ?楽しかったよ?
まぁ、映画は怖かったけど…」


そう言って笑うと、弓弦くんがわたしの手を取った。

赤井さんとは違う、別の男の子の手。
手を握られて思った。
好きな人とそうでない人、手を握られただけでこんなにも自分の気持ちが違うことに気付く。

赤井さんに手を握られると、嬉しくて幸せで、その手を離したくないって思うけど、
赤井さんじゃない人だと、なんとなく居心地が悪くて、早く離して欲しいって思ってしまうんだ。


そんな最低なわたしの心の中なんて知らない弓弦くんは、わたしの目を見つめながら言う。


「俺、今日一日一緒にいて、やっぱりサラさんのこと好きです。」





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