【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第55章 片想い
そして、自分たちのチケットに書かれた番号の席を探し当てると、普通と違う席にわたしは眼を丸くする。
「え…この席」
「カップルシートです」
「か!カップルじゃないでしょ?!」
真ん中に肘掛けがない、2人掛けの席。
隣の同じタイプのシートには文字通りカップルがぴとっとくっついて座っていて、イチャイチャしてる。
「デートだから、こう言うのもいいかなって。
だめすか?」
「だめだよ…」
「でも、もうチケット買ったし」
ぐ…たしかに…
ここで拒否して出ていくのは大人気ない。
わたしは大人しく弓弦くんの隣にすとんと座った。
見た目より、ずっと距離が近い。
それに、真ん中に肘掛けがない分、境界線もなくて、わたしの無造作に座席に置いた手と、弓弦くんの手が触れる。
思わずパッと手を引っ込めたわたしを見て、弓弦くんは少し笑った。
「そんな警戒しなくても」
「べつにしてないもん」
まずい。
これは赤井さんに見られていたら殺される…(弓弦くんが)
この映画見終わったら、ごめんなさいって謝って帰ろう。
弓弦くんには、弓弦くんに相応しい女の子がいるはずだ。
そう決心していると、予告が終わりついに映画が始まった。
寝よう。1秒でも早く。
そう思いながらわたしは目を閉じた。