【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第55章 片想い
ランチが終わり、お店を出ると弓弦くんが時計を見ながら言った。
「今から、映画を観ようと思ってて。」
「映画!」
良かったぁ!
映画ならもうあんな風に無駄にドキドキするようなこと言われたりしないよね?!
画面を見ながら2時間一緒にいれば今日のデートは終わりだ。
なんて、せっかく誘ってもらってるのにこんなこと考えてる時点で、弓弦くんに好いてもらう資格なんて無いよね。
でもしょうがない。
どうしたって、わたしが赤井さんより弓弦くんを好きになる未来なんてないもん。
自己嫌悪と開き直りを繰り返しながら弓弦くんの後をついていくと、映画館の前に貼ってあるポスターを指差しながら弓弦くんが言った。
「これっす。観ようと思ってたの」
どれどれ?とそのポスターを見た瞬間、わたしの身体がぴしっ…と固まる。
「え…こ、これ?」
「はい。俺、ホラー映画好きなんです」
ポスターには、おどろおどろしい文字で書かれたタイトルと、不気味なピエロが写ってる。
む…無理…
2時間、これが大画面に写るの…?!
ありえない!!!
明らかにそのポスターを見て挙動不審になるわたしを、弓弦くんが目を丸くして見てる。
「…もしかして、怖いの苦手っすか?」
「にっ!!苦手じゃないよ!?」
7つ年下の男の子に、咄嗟に虚勢を張るわたし。
だ、大丈夫。
2時間ずっと目を瞑っていれば。
なんなら寝てしまおう!!!
「そうすか?…じゃあ、飲み物買って入りましょう」
「は、はい…」
全く乗り気じゃないわたしは、弓弦くんの後ろをとぼとぼ着いていき、スクリーン1番のシアターに入った。