【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第55章 片想い
ふと前を見ると、キャメルが注文した大量の料理がテーブルに並べられていて、キャメルがそれを見ながら目を輝かせた。
「うわあ!美味しそうですね!!」
「…こんなに頼んだのか…」
「ほら、赤井さんのハンバーグも頼んでおきました!」
「なぜハンバーグ…」
「ハンバーグを食べる赤井さんが見たくて」
まるでサラみたいな意味不明なことを言うキャメルに突っ込む気力すら起きず、俺は大人しくハンバーグにナイフを入れた。
ハンバーグを切りながらも、耳はずっとあいつらの会話を盗み聴きしている。
「弓弦くん、今日の格好、大人っぽいね」
サラが弓弦くんを眺めながらそう言ったのが聞こえてきた。
「…サラさんの今日の格好、綺麗ですね」
「きっ!?!」
サラは思わず飲んでいた紅茶を気管に入れてゴホゴホとむせ返っている。
おい。
こいつ完全にサラを落とそうとしてないか?!
「いつもポアロで見る時は、可愛いなーと思ってたけど、今日のサラさんは綺麗です」
「また!そうやってからかってるでしょ?!」
「本気っすよ?」
くそ…後ろにいるからサラの顔が見れない。
そう思いながら、ハンバーグを食べるために持っていたナイフを握る力がグッと強くなる。
今にもナイフをクナイみたいに投げそうな俺を、キャメルが宥めるように笑う。
「あ、赤井さん。
ナイフ、とりあえず一旦置きましょう」
「…あいつ何なんだ…
サラに可愛いとか綺麗とか言っていいのは俺だけだ。」
「サラさん、顔が真っ赤ですねぇ」
「連れて帰りたい。今すぐに」
はぁー…とため息をつく俺を、キャメルはニコニコと見ている。
食べた飯の味はほとんどしないまま、俺はサラたちの会話を盗み聞きながらチラチラと時計を見ていた。