【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第55章 片想い
そう思っていると、キャメルが首を傾げながら俺の姿を凝視した。
「それはそうと、沖矢さんに変装しなくていいんですか?」
「沖矢昴とお前が一日一緒にいるほうが不自然だろう。」
そう言って俺はサングラスを掛け直すと、待ち合わせ場所の時計広場を注視する。
しばらくすると、待ち合わせ場所に例の 弓弦くん がやってきた。
「まだ30分も前だぞ…」
1時間も前から張り込んでいることはすっかり棚に上げ、俺は弓弦くんを睨む。
「可愛いですねえ…こころなしか、服装も少し大人っぽくしているし」
キャメルにそう言われ、弓弦くんの方を見ると、たしかに。
高校生らしくない、大人っぽい服装をしていた。
それが、モデルなだけあって似合っているせいで、行き交う人がチラチラと彼のことを見ている。
ますます気に食わないな。
俺はもうすぐ来るであろう、サラの姿を必死で探した。
絶対に、あいつより先にサラのことを見つけてやる…
そんな謎の対抗心を燃やしながら人混みをじっと観察していると、向こうからサラがこちらに向かって歩いているのを見つけた。
はっと弓弦くんの方を見ると、腕時計に目線を落としていて気づいていないらしい。
俺の勝ちだな。
フンッと意地悪く笑って、またサラの方を見た。
「またあんな可愛い格好をして…
俺以外の男とのデートなんて、Tシャツデニム…いや。ジャージで十分だろ…
Tシャツデニムでも抜群に可愛いからな。俺の彼女は。」
「赤井さん…思っていること、言葉に出てますよ…」
キャメルが珍しく呆れたように俺を見ながら言う。
そうしているうちに、サラが弓弦くんのもとに手を振りながら走っていく。
弓弦くんは顔を少し赤くして手を振りかえしている。
「甘酸っぱいですね〜」
キャメルが呑気にそんなことを言うが、俺は気が気じゃない。
何、デートっぽいことしてるんだよ…
手なんて振りやがって…
ますます気に入らない。