【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第8章 恋をしたのは☆ ♪
程なくして、電気がつくと、
「もう大丈夫よ」
とトイレの前で2人に声をかけ、歩美ちゃんが泣きながら出てきた。
「怖かったよ…」
「サラさん!血が!!」
哀ちゃんが焦ったようにわたしの腕を見て言った。
「ああ、大したことないから大丈夫」
その時、コナンくんや沖矢さん、蘭さんたちが、わたし達の様子を確認しに女子トイレに来た。
「歩美!灰原!」
コナンくんが、2人の名前を呼びながらトイレに入った瞬間、わたしの腕の血を見てギョッとした顔をした。
「サラ!!」
そのすぐ後ろから、沖矢さんの一際大きい声が聞こえ、こちらに近づいてくる。
「ごめん…取り逃しちゃった」
そう言うわたしに、沖矢さんは
「そんなことはいい。
無事か?この傷はどうした??
他にどこか怪我をしていないか??」
と、様子がおかしいぐらいに心配をしてくる。
沖矢さんにしてはとても取り乱しているような気がして、彼の手を握りながら、わたしは大きな声で彼の名前を呼んだ。
「あか……沖矢さん!!」
名前を呼ばれ、ハッと我に帰ったような顔をした沖矢さんを見て、わたしは続けた。
「わたしなら、大丈夫ってわかるでしょう?
滅多なことがない限り、死なないよ。」
「そう…だな…」
「…ねぇ、誰と間違えてるの?」
「え…」
「わたしの瞳の奥に、いったい誰を見てるの?」
そのわたしの問いに、沖矢さんは答えられず、その沈黙がむしろ答えなんだと悟ったわたしは、
「ごめん。手当てして、頭冷やしてくる」
そう言ってひとりレストルームを出た。