【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第8章 恋をしたのは☆ ♪
歩美ちゃんの怯えた声が聞こえ、しばらくして暗闇に目が慣れたわたしは、
「2人とも、一番奥のトイレに入って。
電気がついて、知ってる人が来るまで絶対開けちゃダメよ」
「う、うん」
そう言って、2人がトイレに隠れたことを確認するとレストルームの入り口までゆっくりと歩いた。
ただの停電なら良いんだけど。
そう思っていると、暗闇で誰かがこちらに向かって走ってくる気配がした。
わたしは咄嗟に目を閉じて、足音で距離と方向を測り、身構えていると、その人物はわたしに気付き、殴りかかってきた。
シュッと風を切るような音とともに繰り出された拳を、わたしは紙一重で避け、相手の脚を自分の足で引っ掛けて倒した。
ドォーンと人間が倒れる音がして、思わず歩美ちゃんが声を上げる。
「サラお姉さん!大丈夫?」
「大丈夫よ。そこから出ないで!」
こいつ、武器持ってたらヤバイ。
そう思い、わたしは倒れていた奴に抱きつくと、そいつは男だと確認し、その身体を素早く探り、武器を持っていないか確認した。
そのとき、背中に固いものが仕込まれていることに気づく。
「ナイフ…」
そう判断したわたしは一瞬でその男から離れた。
「あなた、誰?何者?」
その男は何も返事をせず、背中からナイフを取り出し、わたしに斬りかかってきた。
「くっ…」
振りかぶったそれを間一髪で避けるが、そのあとすぐに薙ぎ払われ、わたしの腕に防御したときの痛みが走った。
「もう怒った」
わたしはその男のこめかみを両拳で殴り、みぞおちに3発入れると、男は突然走り出した。
「待て…!」
追いかけようとしたが、ハッと歩美ちゃんと哀ちゃんのことを思い出し、このレストルームから離れるわけにはいかず、男を取り逃してしまった。