【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第8章 恋をしたのは☆ ♪
パーティーも中盤に差し掛かってきた。
特に何も起きていないみたい。
脅迫状は愉快犯だったのか。
何も起きないに越したことはない。
さすがのわたしも、パーティー参加者全員を守り切れるわけじゃないし。
そんな風にほっと胸を撫で下ろしていると、歩美ちゃんがもじもじしながら言う。
「わたし、お手洗い行きたくなっちゃった」
「ジュースたくさん飲んでたものね。
わたしが付いていってあげるから行きましょう」
哀ちゃんが歩美ちゃんの手を引いて、会場を出ようとした時、コナンくんが突然すごい剣幕で口を開いた。
「待て!…あ…ぼ、ボクもー」
「なに?女子トイレまで付いてくる気じゃないでしょうね?」
周りの空気に気づいたコナンくんは急いで子供っぽく取り繕うが、哀ちゃんはジトーっとコナンくんの方を見てる。
「じゃあ、わたしと一緒にいこうか。
わたしも行きたいってちょうど思ってたの。」
わたしがそう言うと、コナンくんがあからさまにホッとしたような顔をした。
「うん!一緒にいこー!」
歩美ちゃんがわたしの手を引いて、会場を出ようとした時
「サラ」
沖矢さんがわたしの名前を呼んだ。
「なに?」
「…いや、気をつけて」
「トイレ行くだけでしょ?」
そっけなくそう言ってわたしは沖矢さんの方を3秒見た後、会場のドアを開けて外に出た。
ああ、なんて可愛くない女なんだろう。
これまで何とも思ってなかった哀ちゃんに対しても、赤井さんの恋人の妹って目で見てしまうとどうしても好きになれない。
こんな自分が嫌だ。
お手洗いに着き、2人が終わるまでパウダールームでリップを塗り直しながら、自分の顔を見つめてみた。
宮野明美さんってどんな人だったんだろう。
綺麗な人だったんだろうな。赤井さんが忘れられないぐらいだもん。
しかも哀ちゃんの姉だし。
「何?さっきから人の顔見ては、ため息ついて」
いつのまにかトイレを済ませた哀ちゃんが隣にいた。
「ご、ごめん。気にしないで…
…あ、あのね、哀ちゃん。
哀ちゃんのお姉さんって…」
そこまで言った瞬間、急に電気が消え、辺りが真っ暗になった。
「えっ!何?停電?」