【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第54章 君に届け ☆
赤井side
まただ。サラの天性の人たらしというか、無防備すぎるというか。
明らかにあの男、サラの事狙っているだろう。
あんな風に髪に触れられて、ありがとうなんてお礼言うなよ…
本当に心配になる。
家に帰ってきてしばらく経つが、時間差で沸々と怒りが湧いてきた。
怒りを洗い流すようにシャワーを浴びて、ソファーでバーボンを飲みながらぼーっとテレビを見ていると、俺はガバッと身体を起こした。
「今、巷で大人気。
スーパー男子高校生 橘弓弦くん。
弓道の全国大会でスカウトの目に留まり、モデルとして雑誌に引っ張りだこの彼の魅力に迫ります」
夜の情報番組に、今日俺が車に乗せたあの高校生が映っていた。
あいつ、生意気にモデルだと?
確かによく考えてみれば、美男子だった。
だが、素朴な雰囲気だったし、そこまで脅威には感じなかったのに。
顔を見るとまた、ふつふつとイライラが募る。
テレビ番組は、一問一答のコーナーに入り、テレビに映った橘弓弦は淡々と答えていく。
「身長は?」
「178」
「血液型は?」
「B」
「得意な科目は?」
「数学」
「苦手な科目は?」
「英語」
「好きな食べ物は?」
「…割と甘いもの好きっす」
「どんな女性がタイプ?」
「…行きつけの、カフェの店員さん」
あまりにも淡々と答えるから俺は危うく聞き逃しそうになったが、あいつ…確信犯だ。
18歳、俺より10以上も歳下の男を敵視するとは、俺らしくないが、サラが絡むとそうは言ってられない。
「赤井さん?」
ふと、サラが髪を乾かしてリビングに来たので、俺は慌ててチャンネルを切った。