【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第54章 君に届け ☆
もうすぐ、俺の家に着こうとするとき、赤井さんがサラさんを横目に見ながら言った。
「サラ。髪に何かついてる」
「え?ほんと?取って?」
「もうすぐ、彼の家に着くからその時取ってやる」
余裕だ。きっと、俺になんかライバルにすらならないってタカを括っている。
悔しくて、何となく仕返ししてやりたくて、俺は自分の自宅前に車が止まった瞬間、後部座席からサラさんの髪に触れた。
柔らかくて、さらさらの髪。初めて触った…
初めて、サラさんに触れた
赤井さんは、俺を目を見開いて見たと思えば、ギッと睨みを効かせてくる。
こ、こえー。
でも、ざまあみろ。
「ごみ、取れました」
「ええっ?ありがとう!」
ニコッと笑うサラさん。
絶対、満点取ってやる。待ってろ。
そう思いながら、俺は車を降りた。
「ありがとーございました。」
赤井さんにペコっと頭を下げ、自宅に戻ろうと車に背を向けた。
あれ?まだ走り去らない?
玄関の門の鍵を開ける間も、あのエンジン音は聞こえたままで、俺はまた思わず振り返った。
車の中では、赤井さんがサラさんにキスをしていた。
何度も、何度も。
サラさんは目をとろんとして赤井さんの方を見てる。
好きなんだな、きっとどうしようもなく。
ふと、赤井さんが横目で俺の方を見た。
は…大人の男だと思っていたけど、大人気なさすぎだろ?
くそ…俺は、ただの一目惚れだった はずなのに。
明らかに、傷付いている自分を自覚しながら、俺は目を逸らして家の中に入った。