【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第54章 君に届け ☆
「よし。じゃあ行くか。先に、彼の家だな」
そう言って赤井さんは運転席に座り、サイドブレーキを下ろした。
運転席にはタバコの吸い殻と、ブラックの缶コーヒーが見えた。
大人の男。サラさんよりきっと年上だ。
「今日、弓弦くんに勉強教えてたの」
「勉強?お前が?」
「なにー?その言い方。英語ならできるもん」
大人だと思っていたサラさんが、途端に子供っぽく見える。
「わたしが教えたんだから、きっとテストは満点だね」
「ふ。だといいがな」
「もー!またそうやって…」
そんなやり取りをしている2人に割って入るかのように、俺は口を開いた。
「満点取ったら」
「え…?」
「満点取ったら、ご褒美欲しいっす。」
俺のその大胆な発言、きっと赤井さんは気付いただろうな。
バックミラー越しで、赤井さんがこちらを敵視するように睨んだ気がした。
「?いいよ?」
男2人の、静かなバチバチに全く気付かず、サラさんは、けろっと承諾してくる。
「サラ…」
赤井さんが、サラさんを嗜めるように名前を呼ぶと、サラさんはムキになって言い返す。
「いいじゃない。満点だよ?赤井さん取ったことある?」
「俺はいつも満点だった」
「か、かわいくない!そういうとこ!
…弓弦くん、何が欲しい?ご褒美」
サラさん。
と瞬時に思ったことは、必死に押さえ込んで俺はサラさんの目を見ながら言った。
「考えときます」
おかしいな。ただの一目惚れでただの憧れだったのに。
どうしてこんなにムキになってるんだ。