【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第54章 君に届け ☆
俺の親の車とは全然違う聞き慣れないエンジン音。
目の前に止まったのは、滅多に走っているところを見ない車種の車。
俺は車には詳しくないけど、多分高級車で、スポーツカーというやつで、左側に運転席があった。
そして、左側のウィンドウがゆっくり開いていく。
「赤井さん!どうしたの?」
「…お前、傘持たずに出ただろ?」
俺の出した傘が、とんでもなくしょぼく見える。
サラさんが赤井さんと呼ぶその男性は、サラさんの後ろにいる俺を見て、首をかしげた。
「たすかる…!濡れて帰ろうかと思ってたの。…あ。」
そう言ったあと、サラさんも俺を見た。
「弓弦くん、お家どこ?もし良かったら乗ってく?
いいよね?赤井さん」
「…あぁ。」
「俺は…」
折りたたみ傘が見つからないように、俺はカバンの中にしまった。
きっと、彼氏…なんだろうな。
それも、さっきの口ぶりからして、一緒に住んでいるんだろう。
「じゃあ、お言葉に甘えて。米花町3丁目です」
まるで、自ら渦中に飛び込むようなモノだ。
だけど、負けたくない。と本能的に思った俺は、その高そうな高級車の後部座席のドアに手をかけた。
「サラ。お前は助手席に乗れよ」
運転席にいた赤井さんは、傘をさしながら車外に出てきた。
背も、俺より高い。体格も俺よりいい。
そして、サラさんの頭上に傘をさしてやると、道路側にある助手席のドアまで、守るようにしてエスコートしてる。
クソ…勝ってるところ一個もねぇ。