第52章 Getaway Car 　☆

2週間後


合宿が終わり、わたしは免許試験場で試験を受けて無事に免許が交付された。

そして今日、ポアロのバイトを終えて家に帰った後、早速赤井さんを乗せてドライブをしようとレンタカーを借りに来た。


哀ちゃんの警護を終え、沖矢さんから赤井さんに戻り、もう今日は外に出る気がなかった赤井さんを無理やり引っ張ってきて、わたしは意気揚々とレンタカーの運転席に座った。


「免許取りたてのやつが、さっそく夜の運転なんて正気か？」


無理やり外に連れ出されて少しだけ不機嫌な赤井さんはわたしを呆れた目で見ながら言う。


「だって！今日運転したかったんだもん。
赤井さんの車、どっちもミッションだし、レンタカーだったらぶつけても大丈夫でしょ？」

「…ぶつけるなよ？頼むから」


赤井さんのあの高級車よりも、レンタカーのほうがだいぶハードルが低い。


「だいじょうぶ！！！！じゃあ、シートベルト締めて！！」

「…不安だ…」


赤井さんは怪訝な顔をしながらシートベルトを締めた。
なによ…キュラソーとやりあったときの赤井さんのあの無茶苦茶な運転に比べたら、相当な安全運転だからね？？


そう思いながら、不安そうな赤井さんをよそに車のキーを回した。


「えーっと、PからDに変えて…」

「ちゃんとブレーキ踏んでいるか？」

「踏んでるよ！えっと、それからサイドブレーキをさげて…」

「…それ、一番最初に習うだろ…？大丈夫かよ…」


ハンドルを両手でギュッと握って、じっと前を凝視するわたしを見ながら、赤井さんがまた不安そうにこちらを見た。


「だいじょうぶ！！よし！出発！」


そう言って、レンタカーショップを出発した。