【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第52章 Getaway Car ☆
「…電話、かけてこないじゃないか」
ふとスマホを見ると20時。
サラからの着信はまだない。
…先に風呂に入るか…
けど、入ってる間にかかってきたら…
…どうして俺は、電話一本にこんなにあたふたしているんだ…
馬鹿馬鹿しい。
そう思いながら、クールを装って俺はシャワーを浴びた。
この間にかかってきたら、掛け直せば良いだけの話だ。
そう思いながらも、いつもより3倍速でシャワーを終わらせ、出てすぐ身体すら拭かずに脱衣所でスマホを確認する。
まだ着信はない。
「…ないのかよ」
はぁーっとため息をつきながら、ボクサーとスウェットを履き、タオルを頭に被せた。
「あいつ、忘れてるんじゃないか…」
そう溢した瞬間、俺のスマホがブルッた。
「っ!?」
驚いてスマホを落としそうになった俺は、着信画面にサラのアイコンが表示されているのを見て思わず受話器をあげた。
「もしもし?」
「わ!1コールで出た!はやい!」
受話器から、サラの可愛い声が聞こえる。
それだけで俺の顔が綻んでいく。
「赤井さん今何してた?」
「シャワー浴びたところ。お前は?」
「わたしはねー」
そう言いながら答えようとした時、サラの受話器から別の女の声が聞こえた。
「サラが大好きって言ってました〜」
「ちょ、ちょっとナナ!
もお!返して!」
「ホントのことじゃん〜」
受話器の向こう側で、きゃっきゃと女同士で戯れる声が聞こえる。