【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第52章 Getaway Car ☆
そして、合宿に出発する日がやってきた。
「じゃあ、行ってきますー!」
「サラ、待て」
「?」
わたしが玄関のドアを開けて出かけようとしたとき、赤井さんが呼び止めた。
なに?と振り返ると、ゆっくり顔が近づいてきて唇が重なる。
「…夜、電話してくれ」
わたしの髪を撫でてそう言う赤井さん。
不意打ちでキスするの、ずるい…
「うん。向こうに着いたらとりあえずLINEするね」
「あぁ。…知らない男に、おやつをあげると言われても着いて行くなよ?」
「…子供じゃないんだから」
「あと、無茶な運転はするなよ」
「…赤井さんにだけは言われたくないです」
数秒見つめ合った後、赤井さんがめちゃくちゃ大きいため息を吐きながら、わたしをぎゅーっと抱きしめた。
「……はぁ。嫌だ…
…2週間も目の届かないところに行くのか…
不安だ……」
「だ、大丈夫だよ!
大人だよ?!わたし」
「それは俺が一番よくわかってる。」
そ、それは身体的な意味ですか…
相変わらずわたしの身体を抱きしめて離さない赤井さん。
嬉しいんだけど、そろそろ時間だ…
「…赤井さん。もういかないと…」
「いやだ」
そう言って赤井さんは、さらにわたしを抱きしめる力を強めた。
やだって!可愛い…可愛すぎる…!
一発でKOのわたしはそのまま合宿をすっぽかそうかとすら思ってしまう。
だけどもうお金は入金済みだし、さすがに行かないとな…
自分で申し込んだ癖に、赤井さんに行くなと言われると行きたくなくなる、どうしようもない女だ。
「…毎日電話とLINEするから。」
「…仕方ないな。…じゃあ、気をつけて行ってこいよ」
そう言って名残惜しそうにわたしの身体を離し、後ろ髪を引かれる思いでわたしは自宅を出発した。