【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第51章 HANABI ☆
花火なんて、見るのいつぶりだろう…
そして、実は浴衣を着るのは生まれて初めてだ。
「わたし、浴衣着たことなくて…
どうやって着るんですか?」
「着せてあげる♪
さ、全部脱いで〜」
「ぜ、全部!?」
「あ、ショーツは脱がなくていいから」
「ブラは取るんですか」
「そうよ〜はやく♪」
言われるがまま、わたしは有希子さんにパンツ一丁の姿にさせられた。
そしてその後すぐ、有希子さんがわたしの身体にふわっと浴衣をかけた。
「可愛い。この浴衣」
白地に紺色の金魚が描かれた浴衣に、帯は深い赤。
鏡の前で浴衣の柄に見惚れていると、有希子さんのプロ並みに速い着付けはあっという間に終わった。
「髪もアップにしましょ」
そう言ってわたしの髪を器用に巻くと、少し下の位置でふわふわのお団子を作った。
「わー!有希子さんすごい…」
「当たり前よー!秀ちゃんを別人に変装させるぐらいなのよ?
このぐらい、簡単よ♪」
「確かに…」
その説得力100%の説明を聞いてしまうと、納得せざるを得ない。
美人で明るくて何でも出来る、まさかにパーフェクトな女性代表の有希子さん。
そんな有希子さんはわたしの肩に手を置いて一緒に鏡を覗いた。
「うん。とっても綺麗…」
「ありがとうございます…」
「うち、新一ひとりだから、娘に浴衣着せてあげるの夢だったのよ」
わたしも、有希子さんをたまにお母さんみたいと思ってる。
本当に赤井さんと出会ってから、わたしの周りに大切な人がたくさんできた。
「きっと、秀ちゃんイチコロよ!」
「ふふ。だといいんですけど…」
「秀ちゃん、あなたにメロメロだから。
あ、そうだ!これはお裾分け」
そう言って有希子さんは箱に入った素麺をお土産に持たせてくれた。
「わー!ありがとうございます!
バルコニーで花火見ながら素麺にします!」
「いえいえ〜秀ちゃんの反応、どんなだったか教えてね?
あ、脱がされちゃダメよ?
一人で着れないでしょ?」
「もう!花火見るだけですよ!」
有希子さんのチャチャを笑って返したわたしは、浴衣を着てカラコロと下駄の音を鳴らしながら自宅に戻った。