【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第49章 bluebird ☆
そんな中、ひとりの男性客がサラの背後から手を伸ばし、サラの水着の紐をわざと引っ張った。
「な…!」
ガタッと立ち上がった俺を、キャメルが慌てて止める。
「あ、赤井さん。一旦、一旦落ち着きましょう」
キャメルにそう言われ、怒りで震えながらサラの方を見てると、サラも流石に焦ったように声を上げた。
「わ!え、外れた?」
「えー。しょうがないから俺が結んであげるよ」
そう言いながら、サラの背中にまた手を伸ばすその男。
「殺す」
即座にハンドガンを取り出した俺を、キャメルはまた羽交い締めにした。
「まままってください!
発砲はマズイですよ!さすがに!」
「離せ。脳幹ブチ抜いてやる。」
「そ、即死ですよそんなことしたら…」
そんなやり取りをしていると、サラの背中に伸ばした手を、誰かが掴んで止めた。
「お客様。困りますよー。
従業員へのお触りは禁止です」
「安室さん…!」
見ると、バーボンがその男の腕を掴んでいた。
ホッとした反面、なぜ俺じゃなくてお前がサラを助けているんだよ…とまた別の怒りが湧いてくる。
「サラ、はやく裏で直しておいで。
ついでに、Tシャツ着てきな?
マスターには僕から言っておくから」
サラの頭をぽんぽん撫でながら、そう言う安室くんを見て、サラは安心したように笑った。
あのふたりには、きっと俺の知らない絆があって、俺の知らない時間を共有してきた。
安室くんは今でもサラのことを好きなんだろうか。
そう考え込んで途端に静かになった俺を見て、キャメルは不思議そうに言った。
「あ、赤井さん?どうかしました?
「いや…別に」
海の家は、たしか夕方までと言っていたな。
あと2時間、ここでサラを見張っておくしか出来ないのか。
はぁ…とため息をつきながら、俺はひたすらにサラのバイトが終わるのを待った。