第49章 bluebird　☆

「…もう一度言ってみろ」


帰宅後
赤井さんに海の家の話をしたら、赤井さんが怖い顔をしながら言った。

もう一度？とわたしはさっき言ったことを繰り返そうとする。


「え？ピエールエルメのマカロンボックスとチーズケーキ…」

「違う。その前だ。
…水着にエプロンだと…？」


まるで娘にしかるパパみたいに腕組みをしてそんなことを言ってくる。


「あぁ、なんか去年それで接客したら、売り上げが倍増したんだって。
だから今年も…」

「絶対に駄目だ。」


わたしの言葉にほとんど被せる形で赤井さんは即却下を下す。


「えー！どうしてよー！」

「そんな、男を悩殺する格好絶対させられない」

「悩殺って…」


そんなこと言われても、水着持ってこいって言われてるんだもん…

そう思いながら、むーっと口を尖らせて赤井さんを見ると、
赤井さんはため息をつきながらわたしを腕の中に閉じ込めた。


「そんな格好して接客なんかしたら、絶対変な男が寄ってくる。」

「そんなことないと思うけど…」

「いや、絶対だ。
…お前は可愛いから…世界一」


ぎゅ…っと抱きしめる力を強めながらそう言われると、胸がキュンとする。
というか、赤井さんは饒舌じゃないくせに可愛いとかは突然ストレートに言うから心臓がもたない…