【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第49章 bluebird ☆
梅雨が終わり、毎日茹だるような暑さの夏がやってきた。
沖矢さんの首元の変声機を隠すためのハイネックが辛そうに見える季節だ。
そんな夏の日のポアロのバイト中、突拍子もない話が梓さんから降ってきて、わたしは思わず聞き返した。
「え?海の家?」
「ええ。毎年夏に、近くの海水浴場で海の家を出してるんですよ。
今年も1日限定だけどやりますよ。
サラさんは初めてですよね」
「初めてです!焼きそばとか売るんですか?
楽しみだな…」
海の家かぁ。
思えば、海水浴って長らくしていないな…
バイトだから遊びに行くんじゃないんだけど、ちょっとだけ海に入る時間とかあるといいなー。
なんて、想像するだけでワクワクしてくる妄想を繰り広げていると、梓さんが笑いながら言う。
「あ、当日は水着持ってきてくださいね。
水着の上にエプロンを付けるので」
「なるほど!了解です!」
わたしは梓さんのそのリクエストを、特におかしいとも思わず素直に了承した。
そんな話をしていると、お店の奥からポアロのマスターが出てきてご機嫌に話し出す。
「今年はサラちゃんもいるし、きっと大儲け出来るぞー!
海の家で稼いだ分はボーナスで当日支給するからみんな頑張ってね」
「当日!!ボーナス!!」
一瞬にして目に¥マークが浮かぶわたしに、梓さんは笑いながら言う。
「去年は5万支給でしたよね!」
「5万!?」
5万円あったら、ピエールエルメのマカロンボックスが10個も買える!!
わたしの大好きなチーズケーキも、ホールで20個買える!!
と、甘いものにつぎ込む気満々のわたしは、帰宅するとそれはそれは嬉しそうに赤井さんにこの事を話すのだった。