【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第48章 カブトムシ ☆
俺を睨みながら、あくまでも丁寧な口調でそう言うバーボンに、
俺は核心をついた質問をする。
「サラとジンはどういう関係だった」
「…突然、何ですか。」
「知っていることを、教えてくれ」
間髪入れない俺の質問に、バーボンはフゥとため息をついて言う。
「本人に聞けばいいでしょう」
「…もし、俺の予想通りの回答なら、それをサラの口から聞いた時、
その一瞬の俺の表情の変化で、絶対にあいつを傷つける。
…それだけは、避けたいんだ」
「……僕の口から言わせないでくださいよ。」
バーボンは、参ったようにため息を吐きながらそう言った。
それはもうほとんど答えだな。
サラは…かつて、ジンと…
俺の世界で一番憎い男と…
バーボンはものすごく複雑な顔をして言う。
「…もっとも、サラはジンに恋愛感情はなかったようだけど。
問題はジンだな。」
「どう言うことだ?」
「ベルモットが一度酔って愚痴を漏らしていたことがあるんですよ。
ジンが抱いてくれなくなったと。
ちょうど、ジンとサラの関係が噂され出した頃でした。
…ジンがこれまで特定の人間を優遇することはなかったから。」
「…サラを特別視していたと言うことか」
「どう見ても、お気に入りでしたね。
それに、サラがあの世界から足を洗ったあの夜、ジンは心臓や頭を狙わず、あえて肩を狙った。
非情なジンらしからぬ行動だ。」
「…もしも、ジンにサラが見つかったら…」
「…分かりません。
容赦なく殺す気もするし、何かの気の迷いで逃す気もする。」
「…そうか。…わかった。
色々聞いて、すまなかったな」
俺はそう言ってバーボンから背を向けた。
「…一応、念押ししておきます。
サラのことを、もしまた一瞬でも手放そうとするなら…」
「そんな日は来ない」
バーボンの言葉を最後まで聞かずに俺は一言だけそう言うと、車に戻った。