【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第48章 カブトムシ ☆
すれ違う時、ジンがわたしの腕を掴んだ。
「!?」
わたしは驚いて目を見開いてジンを見た。
ジンはあの氷のような目でわたしをじっと見てくる。
何度も何度も見た、あの瞳。
バレた…?!まさか、わたしがジェーンだって。
カタカタと唇が震え出した時、隣にいた沖矢さんがジンを見て冷静に言う。
「…離していただけますか?僕の妻の腕を」
そう言っても、ジンは沖矢さんの方を見ようともしない。
じっとわたしの顔を見てくる。
「アニキ…?」
隣にいるウォッカが不思議そうにジンに声をかけた。
「フ…そんなはずはないか」
そう言ってわたしの腕を離し、くるっと背を向けた。
ドクンドクンと心臓が鳴る音がうるさいのに、ジンの声が嫌にクリアに聞こえる。
「あ、アニキ?さっきの女がどうかしたんですかい?」
「同じ匂いがしたんだよ。ジェーンと」
「匂い…ですかい?」
「…あぁ…」
前に、安室さんが言ってたことを思い出した。
ジンが、わたしの死を不審に思っていると。
怖い。またあの氷みたいな目でわたしのこと撃つの?
今度こそ、殺してやるって思ってる?
ドクンドクンと心臓がうるさくなって、はあ…はあ…と動悸がするのを無理やり落ち着かせようとしていると、沖矢さんがわたしの腕を引いて、唇を重ねた。
「…ん…」
「…落ち着いて。僕を見て」
「沖矢さ…」
「昴。…夫婦なんだから」
そう言って沖矢さんはわたしをぎゅっと抱きしめた。
「…す…ばる…」
ぎこちなくそう呼びながら、昴の背中に腕を回して、フーッと深呼吸するみたいに息を吐いた。
いつの間にか、ジンとウォッカの姿は消えていて、わたしは沖矢さんに腕を引かれながらジェイムズさん達が待つ車へと戻った。