【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第48章 カブトムシ ☆
思わずドアの方を見ると、有希子さんの隣にショートカットの女性が立っている。
それがサラの変装だと理解するのに数秒かかった。
黒髪、ショート、目は少し切長で赤い口紅
大きくスリットが入ったロングドレスに黒いハイヒール。
「すごいよね!?有希子さんの変装術!どう見ても別人だよ!」
そのクールビューティーな見た目とは裏腹に、いつものサラの話し方・声がものすごいギャップだ。
確かに、ある意味普段のサラの見た目とは真逆だ。
普段のサラは髪は透け感のあるくすんだブルネットのロング。
目はくりくりと丸みを帯びていて、赤い口紅は普段はつけない。
「バイオハザードシリーズのエイダウォンをイメージしたのよん♪」
有希子さんはその完成された作品を見てご満悦だ。
「確かに、別人だな。まるっきり。
…後は、博士にもらったチョーカー型変声機を首に巻いて、話し方をもう少し賢そうに…」
「ちょっと!今、暗にわたしの話し方がバカっぽいって言わなかった!?」
は。しまった。つい。
そんなふうに口元に手をやる俺を見てサラはぷんぷん怒りながら、変声機を受け取って首に巻いた。
「これでもわたし、スパイ組織のエースだったのよ?」
変声機をつけると、いつもより少しハスキーな声になり、サラふふんと笑いながら言う。
心なしか、表情も少し挑発的に見え、元々諜報活動を前線でやっていただけのことはある。
隣にいたジョディもその変貌っぷりに目を見開いて驚いている。
その時、
コンコン
「赤井さん、ジョディさん。車の準備もうできていますよ」
そう言いながらキャメルがリビングに入ってきて、サラをじっと見ながら言う。