【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第47章 黒い猫の歌 ☆
頼みがあると言いながら部屋に入ってきた赤井さんは、何か言いにくいことを言いにきたみたいに黙ってしまった。
有希子さんが赤井さんの顔を覗き込みながら改めて聞く。
「秀ちゃん。頼みって何?」
その問いに、フゥ…と一度ため息を吐いて、わたしたちを交互に見ながら言った。
「例の組織が、近々杯戸町に現れる。
サラ。FBIに協力してくれないか」
「え…」
今まで、赤井さんがわたしにそんなことをお願いすることは無かった。
いつも、危ないからとわたしに必要以上に首を突っ込ませないようにしていたのに…
「有希子さんには、サラの変装をお願いしたい。
こいつの顔は、組織に割れているので…」
「それは…構わないけど」
「サラ。どうだ?協力してくれるか?」
「…」
いつものわたしなら、二つ返事でむしろ喜んで着いていっただろう。
だけど…
ジンに確実に会うことになる。
こないだ、雑踏の中で見かけただけで足がすくんだのに、対面した時冷静に振る舞える?
向こうはわたしに気づかなくても、挙動不審でバレちゃうんじゃないかと心配だ…
考え込んで下を向くわたしの両肩に手を置き、赤井さんがわたしの目を見て言う。
「サラ。お前は俺が必ず守る。
命に変えても」
「…それは…わたしのセリフだよ」
ありがとうでも、嬉しいでもなく、わたしから口をついて出たのがその言葉だった。
そうだ。わたしが、赤井さんを守りたい。
命に変えても。
「わかった。協力する。何をすればいいの?」
逃げない。自分の過去からも、過ちからも。
そう思いながらじっと赤井さんを見た。