【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第47章 黒い猫の歌 ☆
赤井さん、困惑した顔してた…
そりゃそうだよね…突然払い除けられて、わたし汚いからって意味わからない。
…ジンとのこと、赤井さんに話す…?
だけどジンは赤井さんにとって、恋人を殺された仇なんだよ…?
そんな相手と結婚も考えてる彼女が過去に関係を持ってましたなんて、言えないよ…
それに、もう過去のこと。
わざわざ話して、赤井さんを無意味に傷つけることないよ…
肩口にジンにつけられた銃創。
少し薄くなったけど、まだちゃんとある。
お願いだから、早く消えて…
わたしはその上を何度も何度も引っ掻いた。
石鹸をつけてゴシゴシ洗って、どうにか綺麗にしようとした。
当然、どんなに洗っても消えなくて、わたしは力無くバスルームを出た。
キャミソールを着て、髪を乾かしリビングに戻ると、赤井さんがダイニングに夕食を並べてくれている。
「腹、減っただろ?」
テーブルの上には二人分の食事がある。
「…赤井さん、食べてなかったの?」
「お前が帰ってこないし、連絡も取れなかったから。
飯食ってる余裕なかったよ」
そう言って赤井さんは、わたしの身体をぎゅっと抱きしめた。
「…無事で良かった」
こんなに優しいひとに、わたしはどれだけ残酷な運命を背負わせるんだろう。
消したい…あんな過去。
忘れたい。無かったことにしたいのに。
あんなに鮮明な夢を見るわたしは、汚い。
赤井さんに抱きしめられてるのに、抱きしめ返す勇気が出ない。
ただ、赤井さんの胸の中で泣いた。
「…何かあったのか?」
赤井さんに髪を撫でられながら、優しくそう聞かれても、わたしはぶんぶんと首を横に振った。
この、世界一居心地の良い腕の中を無くしたくない。