【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第47章 黒い猫の歌 ☆
「っあ!!!」
悪夢にうなされて、思わず飛び起きた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
動悸がする。
吐き気も…冷や汗が止まらない。
どうして、今更あんな…あのときの夢なんて…
ふと、隣を見ると上半身裸の赤井さんがスースーと寝息を立てて眠っている。
その寝顔を見て、ホッとした。
良かった…ちゃんと現在(いま)だ…
ふと、時計を見ると深夜4時。
赤井さんにたくさん愛された後に、あんな夢を見るなんて、本当にどうかしてる。
まだ外は暗くて、カーテンが揺れて月明かりに自分の身体が照らされた。
白い肌が汚くくすんだように見えて、わたしは思わず自分の肌を引っ掻いた。
あれから何度もジンと身体を合わせた。
首を絞められながら絶頂を迎えると、
わたしは、あぁ。今日も生きてる…そんな風に思っていた。
愛のない最低な行為だって、わかってる。
だからずっと思い出さないようにしていた。消し去りたい過去。
どうして…今更…
「…っ…」
自分の身体を爪で引っ掻きながら抱きしめて、上がってくる息をはあはあと必死に繋いだ。
そのとき
「サラ…」
ハッと赤井さんの方を見ると、赤井さんは眠そうに目を開けてこっちを見ていた。
「どうした…?赤くなってる…」
そう言いながら、わたしが引っ掻いた肌に触れた。
冷たい指先。なのに優しくてあたたかい。
赤井さんには絶対知られたくない。
こんな最低な過去。知られたら絶対に嫌われる。
わたしのこと、きっと汚いって思う。
「…ごめん…嫌な夢見て…」
わたしが力無く笑いながら精一杯そう言うと、赤井さんはわたしを抱きしめてくれた。
「もう大丈夫だ」
「…赤井さん……どこにも行かないで…」
彼にこれを伝えるのはもう何度目だろう。
何かあるたび、その言葉を言いながら縋るように赤井さんに抱きついているわたし。
赤井さんはそんなわたしをいつも力一杯抱きしめてくれる。
大丈夫…もう過去のことだ。
ジンとはもう永遠に会わない。
そのうち、赤井さん達FBIがあの組織を壊滅させて、わたしは赤井さんと未来を歩いてく。
大丈夫。
そう言い聞かせながら、わたしは赤井さんの腕枕でもう一度眠りについた。