【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第47章 黒い猫の歌 ☆
あぁ。飼い殺しってそういうこと…
上へ上へと登っていくエレベーターからは、マンハッタンの夜景が見えた。
17のとき、何度も見たこの夜景。
20を過ぎてまた、この夜景に傷付けられる日が来るとは。
それでもわたしは逃げない。抵抗もしない。
何なら少し楽しみにすらしている。
この世界に足を踏み入れてから、キスをしたのは初めてだった。
タクミとのキスは、わたしの一方的な愛だけはあったけれど、ジンとのキスは一ミリも愛のないキス。
このほうが楽かもしれない。
愛なんて邪魔なだけだ。
愛して欲しいなんて言わない。
愛して無くすくらいなら、最初から愛なんて無い方がいい。
エレベーターは40階に到着して、ジンに手を引かれ、部屋の一室に足を踏み入れた。
部屋に入ってすぐ、ジンがわたしの首に手をかけ、壁に押し当てた。
この状態でジンが思いっきり力を入れると、わたしは死ぬだろう。
ジンの氷の瞳がわたしを刺す。
「お前は、変な女だな」
「あなたも相当変な男だよ…」
馬鹿みたい。どうかしてる。
こんな、どうしようもなく極悪な男と、身体を重ねるなんて、一生の傷を残すようなものだ。
ジンがわたしの顎を乱暴に掴んで上を向かせた。
「暇つぶしぐらいにはなりそうだ」
そう言いながら、わたしに舌を入れた。
キスなんかじゃない。
ただの欲望を満たすだけの行為。
ベッドにすら連れて行ってくれないんだから。